雇止めの「30日前予告」はいつまで?期限日の数え方と必要な条件
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パートや契約社員として働いていて、「そろそろ契約の満了が近いけれど、更新されるかどうか会社から何も言われない」「更新しないと言われたが、これはいつまでに伝えられるべきものなのか」と不安になったことはないでしょうか。
有期契約の「雇止め」(契約を更新せずに終了させること)については、一定の条件にあてはまる場合、会社が契約満了日の30日前までにその旨を予告する必要があるとされています。この記事では、その条件と期限の考え方を、具体例を交えて整理します。
先に結論:「30日前まで」の期限日はいつ?
予告期限日は、契約満了日のちょうど30日前の日が目安です。
| 契約満了日 | 予告期限日の目安 |
|---|---|
| 2026年12月31日 | 2026年12月1日 |
| 2027年3月31日 | 2027年3月1日 |
| 2027年9月30日 | 2027年8月31日(月をまたぐ例) |
(解雇予告〔労働基準法20条〕の考え方を参考にした目安です。雇止め予告について日数の数え方を示した公的な資料は、当サイトでは確認できていません。詳しくは4章)
この予告が必要になるのは、①契約が3回以上更新されている、②雇い入れから通算1年を超えて継続して勤務している、③今回の契約期間が1年を超えている、のいずれかにあてはまり、かつ、契約を結んだとき(または更新したとき)に「更新しない」とあらかじめ示されていない場合です(2章・3章)。
なお、予告があったかどうかと、雇止めそのものが認められるかどうかは別の問題です(5章)。
→ ご自身の日付で確かめるなら:雇止め予告 判定ツール
この記事でわかること
- 雇止めの予告が必要になる3つの条件と、その境界(何回目の更新から該当するか等)
- 予告が不要になる例外(あらかじめ「更新しない」と伝えられていた場合)
- 予告期限日の考え方(具体的な日付での計算例)
- 「予告があったかどうか」と「雇止めそのものが認められるかどうか」は別の問題であること
1. 雇止め予告とは何か
有期労働契約(契約期間の定めがある雇用契約)は、期間が満了すれば契約が終了するのが原則です。ただし、繰り返し契約を更新してきた労働者にとっては、契約の終了は解雇に近い影響を持つことがあります。
そこで、労働基準法14条2項に基づく厚生労働省の告示「有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関する基準」(令和6年4月1日適用版)は、一定の条件にあてはまる有期契約について、次の契約を更新しない場合、会社が契約期間の満了日の30日前までにその旨を予告することを求めています。
これはあくまで「予告という手続」についてのルールです。予告があったからといって雇止めが自由にできるわけではない、という点は本記事の後半で改めて説明します。
2. 雇止めの予告が必要になる3つの条件
厚生労働省のリーフレットでは、予告が必要になるケースを次の3つのパターンに分けて説明しています。いずれか1つでもあてはまれば対象になります。
- 条件①:契約が3回以上更新されている(3回目の更新も含みます。最初の契約締結そのものは「更新」に数えないと考えられます)
- 条件②:雇い入れの日から通算して1年を超えて継続勤務している(ちょうど1年ぴったりは含まれません)
- 条件③:今回の契約期間そのものが1年を超えている(この場合、雇い入れ日から今回の契約満了日までの通算勤続期間も自動的に1年を超えることになるため、実質的には条件②に含まれるケースです。「単一の長期契約」を分かりやすく示すための表示と考えるとよいでしょう)
具体例
Aさんは2023年4月1日にパート社員として雇い入れられ、以降3か月ごとに契約を更新してきました。今の契約は、雇い入れ後4回目の更新で結ばれたもの(更新回数4回)です。更新回数が3回以上のため条件①に該当し、あわせて雇い入れからの通算の勤続期間も1年を超えるため条件②にも該当します。この場合、雇止めの予告が必要と考えられます。
一方、Bさんは今回が初めての契約で、契約期間は6か月です。更新回数は0回、通算勤続期間・契約期間ともに1年を超えていないため、いずれの条件にもあてはまらず、この基準による予告は必要ないと考えられます。
3. 適用除外:「更新しない」と事前に伝えられていた場合
上の3条件のいずれかにあてはまる場合でも、契約を結んだとき(または更新したとき)に、あらかじめ「この契約は更新しない」旨が明示されていた場合は、予告は不要とされています。この除外は、3つの条件のどれにあてはまる場合にも一律に適用されます。
条文上、この明示が書面でなければならないという要件は定められていません。ただし、後から「言った・言わない」の食い違いが起きやすい部分でもあるため、労働条件通知書などに明記されているかどうかを確認しておくと安心です。記憶があいまいな場合は、実際の契約書類を見返すことをおすすめします。
4. 「30日前まで」とは?予告期限日の数え方(目安)を具体例で
条件にあてはまり、かつ除外にあたらない場合、予告は契約満了日の「30日前まで」に行う必要があるとされています。
たとえば、契約満了日が2026年12月31日だとすると、そのちょうど30日前にあたる2026年12月1日までに予告があれば足りる、という計算になります。
なお、この「ちょうど30日前の日で足りる」という日数の数え方は、同じ「〇日前までに予告」という形をとる解雇予告(労働基準法20条)の考え方を参考にした目安です。雇止め予告そのものについて日数の数え方を個別に示した公的な資料は確認できていません。実務上の目安として参考にしていただき、期限に近い・すでに過ぎているかもしれないという場合は早めに確認することをおすすめします。
また、条件②・③の「通算1年を超える」「契約期間が1年を超える」を計算する際の数え方(暦のうえで応当日をそろえて数える方式か、単純な日数換算か)についても、この告示に固有の公式な計算方式は示されていません。一般的な期間計算の考え方を参考にした目安として理解しておくとよいでしょう。
なお、雇い入れから今回の契約までの間に、契約が結ばれていない空白の期間があった場合、通算勤続期間の数え方が変わる可能性があります。この記事で説明した計算はあくまで契約が途切れず続いていることを前提にした目安です。
5. 「予告があった/なかった」と「雇止めが有効かどうか」は別の話
ここが最も誤解されやすいポイントです。「予告が必要」「予告があった」ということと、「その雇止めが法的に認められるか(有効かどうか)」は、まったく別の問題として扱われています。
労働契約法19条には、いわゆる「雇止め法理」と呼ばれるルールがあります。おおまかにいうと、次のいずれかにあてはまる有期契約について、
- これまで契約が繰り返し更新されてきており、雇止めが解雇と社会通念上同視できるといえる場合
- 契約が更新されるだろうと期待することについて、合理的な理由があると認められる場合
労働者が契約の更新(または期間満了後すぐの再契約)を申し込んだにもかかわらず、会社による雇止めに、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められないときは、その雇止めは認められず、それまでと同じ労働条件で契約が更新されたものとして扱われることがある、とされています。
つまり、30日前の予告があったとしても、それだけで雇止めが自動的に有効になるわけではなく、逆に予告がなかったからといって雇止めが当然に無効になるとも限りません。予告の手続と雇止めの有効性は、それぞれ別の基準で判断される問題です。ご自身の契約実態から雇止めそのものに納得できない事情がある場合は、この記事の範囲を超える論点になるため、後述の相談先へ確認することをおすすめします。
なお、有期契約の通算契約期間が5年を超えた場合に関わる「無期転換ルール」も、有期契約にまつわる別の制度です。あわせて整理したい方は「無期転換ルールの解説」もご覧ください。
6. よくある質問
Q1. 更新回数がちょうど3回の場合は該当しますか?
A. 3回を含めて「3回以上」に該当すると考えられます。
Q2. 雇い入れからの通算勤続期間がちょうど1年の場合は?
A. 「1年を超えて」という条件には、ちょうど1年ぴったりは含まれないと考えられます。1年と1日以上になった時点で該当する、という理解です。
Q3. 「更新しない」と口頭で言われただけでも除外の対象になりますか?
A. 条文上、書面であることは必須の要件とはされていません。ただし、あとから確認できるよう、書面や記録が残っている形になっているかを確認しておくと安心です。
Q4. 派遣社員やパートでも同じ基準が使えますか?
A. 基本的な考え方は有期契約全般に共通しますが、派遣労働者など契約の形態によっては別の制度やルールが関わる場合があります。ご自身の契約内容に不安がある場合は、専門家に確認することをおすすめします。
Q5. 予告がなかった場合、契約は自動的に更新されますか?
A. 予告の有無だけで契約更新の有無が自動的に決まるわけではありません。前述のとおり、雇止めが認められるかどうかは労働契約法19条の別の基準で判断される問題です。
7. 自分のケースを確認するには
ここまでの条件や計算は、実際の日付や更新回数にあてはめてみないと分かりにくい部分もあります。ご自身の雇い入れ日・更新回数・契約期間を入力すると、予告が必要かどうかと、必要な場合の予告期限日の目安をその場で計算できるツールを用意しています。
入力内容は保存・送信されず、ブラウザの中だけで計算されます。
出典
- 厚生労働省リーフレット「有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関する基準」(令和6年4月一部改正版): https://www.mhlw.go.jp/content/001249464.pdf
- 厚生労働省告示本文: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73aa5469&dataType=0&pageNo=1
- JILPT「有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関する基準の一部を改正する告示」(2023年改正): https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/kokuji/20230330b.html
- 厚生労働省「労働契約法改正のポイント(労働契約法19条・雇止め法理)」パンフレット: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet06.pdf