無期転換したら正社員になれる?転換後の給料や待遇はどうなる

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「無期転換を申し込んだら、正社員になれるのかな」「給料は上がるの?それとも下がるの?」——無期転換を考え始めると、申し込んだあとの働き方が気になる方は多いと思います。この記事では、有期契約(契約社員・パート・アルバイトなど、契約期間の定めがある働き方)で働く方向けに、無期転換のあとの給料や待遇がどう扱われるのかを、厚生労働省の資料をもとに、できるだけ専門用語を避けて説明します。

この記事でわかること

無期転換の「5年」の数え方は無期転換ルールの基本(5年・クーリング)の解説、申し込み方法は無期転換の申し込み方法の解説で扱っています。この記事は「転換したあとの条件」に絞ります。

結論:無期転換は「正社員になること」とは限りません

無期転換で変わるのは、原則として「契約期間の定めがなくなる」ことです。契約更新の手続きを重ねなくても働き続けられる状態にはなりますが、それがそのまま「正社員になる」という意味ではありません。

転換後にどんな雇用区分(正社員、無期契約社員、無期パートなど)になるかについて、厚生労働省のQ&Aは「会社によって制度が異なるため、一概には申し上げられません」としています。つまり、どの区分になるかは、勤務先の制度(就業規則など)によって違います。

給料や待遇は、原則として今のまま引き継がれます

労働契約法では、無期転換したあとの労働条件のうち、契約期間以外の部分は、「別段の定め」がない限り、直前の有期契約と同じ内容になるとされています。給料(賃金)、勤務時間、仕事の内容などが、転換をきっかけに自動的に正社員並みになるわけではありません。

「給料が上がる」と期待していた方には少し残念に聞こえるかもしれませんが、逆に言えば、「転換したとたんに何かが自動的に悪くなる」という仕組みでもありません。

「別段の定め」とは?条件が変わるのはどんなとき?

「別段の定め」とは、「直前の有期契約と同じ」という原則とは別に、労働協約・就業規則・個々の労働契約で定められた取り決めのことです。厚生労働省のQ&Aでは、次の3つが挙げられています。

これらで、有期契約のときとは違う条件を定めることは可能とされています。会社が就業規則で別段の定めをする場合は、無期転換した人に適用する就業規則にその内容を定める必要がある、とも説明されています。

また、厚生労働省のQ&Aでは、別段の定めの例として、待遇を引き上げる場合や、それに見合って仕事の内容・責任を変える場合も含まれるとされています。つまり、「給料が上がる代わりに、任される仕事や責任が重くなる」といった形で条件が変わることもありえます。

どんな別段の定めがあるかは会社ごとに違います。自分の場合を知りたいときは、次の「確かめ方」の項目が役に立ちます。

転換後に条件が下がることはある?

不安に感じやすい点なので、公的資料の考え方を整理します。

厚生労働省のQ&Aは、職務の内容などが変わらないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を従前より低下させることは、「無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません」としています。ここで言われているのは「望ましくない」という考え方であり、個々のケースで条件の変更がどう評価されるかは、実際の事情によって変わります。

また、就業規則で転換後の条件を定める場合については、Q&Aで次のような考え方が示されています。

こうした点が実際に問題になるかどうかは、仕事の内容が変わったか、どんな説明があったか、など個別の事情によります。「条件が下がると言われて納得できない」「聞いていた話と違う」と感じたときは、一人で抱えず、後述の相談窓口に相談してみてください。

自分の転換後の条件を確かめるには(2024年4月からの書面明示)

「結局、自分の場合はどうなるのか」を知る手がかりになるのが、2024年4月から始まったルールです。

無期転換を申し込める権利が発生する契約の更新のたびに、会社は次の2つを書面で示すことが義務とされています。

初めて権利が発生したときだけでなく、その後の更新の都度、必要とされています。

さらに、会社には、無期転換後の労働条件を決めるにあたって、就業の実態に応じて、正社員など他の通常の労働者とのバランス(均衡)を考えた事項について、有期契約の労働者に説明するよう努めることが求められています。こちらは「義務」ではなく「努めること」(努力義務)とされています。

実用的な行動としては、次のようなことが考えられます。

通知の内容に疑問がある場合も、後述の相談窓口で相談できます。

定年について

勤務先に定年の定めがある場合、無期転換したあとはその定年が適用されることがあります。厚生労働省のQ&Aでは、無期転換後の雇用に、定年を除いて雇用の上限を定めることはできないとされています。定年を定める場合は60歳を下回ることができず、就業規則に記載しなければならないとされています。なお、法の趣旨に照らして望ましいものとは言えないとされる定め方の例として、65歳で無期転換した人の定年を66歳とするケースが、Q&Aで挙げられています。勤務先の定年制度は、就業規則や労働条件通知書などで確認できます。

同一労働同一賃金との関係(ごく簡単に)

無期転換したあとも、短時間勤務(いわゆるパートタイム)のままの方は、引き続き「パートタイム・有期雇用労働法」の対象になることに留意するよう、厚生労働省のハンドブックに書かれています。フルタイムで無期転換した場合は、パートタイム・有期雇用労働法の直接の対象ではありません。ただ、2026年10月に改正されたガイドラインでは、正社員とのバランスを考えるときにガイドラインの趣旨が考慮されるべきとされ、無期転換後の労働条件を決めるにあたって、会社が待遇差をあらかじめ点検し、不合理と認められる差がある場合には解消することが求められる、とされています。ただし、実際の扱いは個別の事情によって判断されます。

また、同一労働同一賃金ガイドライン等が改正され、2026年10月1日から施行・適用されています。くわしくは同一労働同一賃金の改正の解説、または厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページ(記事末尾の出典)をご覧ください。

困ったときの相談先

無期転換後の労働条件や、それに関連した雇い止め・労働条件の引き下げなどで会社と見解が食い違う場合は、次のような窓口に相談できます。

窓口の名称・連絡先・受付時間は地域によって異なります。くわしくは、厚生労働省の無期転換ルール特設サイトの相談窓口ページ(記事末尾の出典)でご確認ください。

よくある質問

無期転換すると、正社員になれますか?

無期転換で変わるのは、原則として契約期間の定めがなくなることです。正社員になるとは限らず、転換後の雇用区分は会社の制度によって異なります。

無期転換すると、給料は上がりますか?

別段の定め(労働協約・就業規則・個々の労働契約)がない限り、給料などの労働条件は直前の有期契約と同じ内容が引き継がれるとされています。会社の制度によっては、待遇の引き上げや、それに見合った仕事・責任の変更が定められていることもあります。

無期転換したあと、給料や待遇が下がることはありますか?

厚生労働省のQ&Aは、職務の内容などが変わらないのに転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではないとしています。実際にどう扱われるかは個別の事情によるため、不安なときは相談窓口に相談できます。

無期転換後の労働条件は、どこで確認できますか?

2024年4月から、無期転換を申し込める権利が発生する契約の更新のたびに、会社は「申し込めること」と「無期転換後の労働条件」を書面で示すこととされています。まずは手元の労働条件通知書を確認し、不明な点は会社の担当者や相談窓口に尋ねてみてください。

まとめ:まずは労働条件通知書を見てみましょう

無期転換は「正社員になること」とは限らず、原則として「契約期間の定めがなくなること」です。給料や待遇は、別段の定めがない限り直前の有期契約と同じ内容が引き継がれ、別段の定めの有無や中身は会社によって異なります。自分の場合を知るには、更新時にもらう労働条件通知書の確認が第一歩です。

そもそも自分が無期転換を申し込める状況なのかを確かめたい方は、契約の開始日・終了日を入力して目安を計算できる無期転換ルール判定ツールをご利用ください。入力内容は保存・送信されず、その場で計算するだけの仕組みです。

この記事は、厚生労働省の公開資料をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。実際の判断が必要な場合は、勤務先の人事担当者、お近くの労働基準監督署・総合労働相談コーナー、都道府県労働局の相談窓口、社会保険労務士などの専門家にご確認いただくことをおすすめします。

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