無期転換の申し込み方法|申込書の書き方・口頭でもいいかを解説
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「通算5年を超えたから、そろそろ無期転換を申し込みたい。でも、どうやって申し込めばいいの?」——いざ申し込もうとすると、方法や書き方、申し込んだあとどうなるのかが分からず、手が止まってしまうことがあります。この記事では、無期転換を申し込むと決めた方向けに、申し込みの方法と流れを、できるだけ専門用語を避けて整理します。
この記事でわかること
- 無期転換の申し込みは口頭でもいいのか、書面がよいのか
- 申込書にはどんなことを書くのか(厚生労働省の参考様式の案内)
- 申し込んだあと、いつから無期契約になるのか
- いつまでに申し込めばよいのか(申し込めるタイミング)
- 「申し込むと不利益を受けるのでは」という不安への考え方と、相談先
まずはおさらい:無期転換の申し込みとは
無期転換ルール(労働契約法18条)は、同じ会社との有期労働契約を繰り返し更新し、通算して5年を超えると、働く側から申し出ることで、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる仕組みです。ポイントは、会社が決めるのではなく、働く側からの「申し込み」で権利を使うという点です。申し込みがなければ、自動的に無期契約になるわけではありません。
「自分が通算5年を超えているか」「今ちょうど権利があるのか」を日付から確認したい方は、無期転換ルールの基本(5年・クーリング)の解説や、契約の開始日・終了日を入力して計算できる無期転換ルール判定ツールをあわせてご覧ください。この記事は「申し込むと決めたあと」の流れに絞って説明します。
申し込みの方法:口頭でもいい?書面がよい?
労働契約法18条は、申し込みの「方式」(口頭か書面か)を特に定めていません。厚生労働省も、無期転換の申し込みは口頭でも法律上は有効としています。
ただし、口頭だけだと「いつ・誰が申し込んだのか」が後から食い違い、トラブルになりやすい面があります。そのため厚生労働省は、できるだけ書面で申し込むことをすすめています。実際に、申し込み用の参考様式(無期労働契約転換申込書)や、会社が受け取ったことを返す受理通知書の例も公開されています。
口頭での申し込みも法的には有効とされていますが、記録が残らず「言った・言わない」になりかねないため、書面やメールなど、あとから確認できる形で残しておくと安心です。
申込書には何を書く?
まずは、お勤めの会社に所定の様式がないかを確認してみてください。会社の様式がある場合は、基本的にそれを使う想定です。会社に様式がない場合は、厚生労働省が公開している参考様式を使う方法があります。
一般的には、申込書には次のような内容が記載されます。
- 宛先(会社名・担当部署や担当者)
- 申し込みの日付(申出日)
- 申し込む人の氏名
- 無期労働契約への転換を申し込む、という意思(「期間の定めのない労働契約への転換を申し込みます」といった趣旨)
特定の書式でなければ無効、ということではありません。大切なのは「無期転換を申し込む意思」が相手に伝わり、その記録が残ることです。正確な様式や記載例は、記事末尾の出典にある厚生労働省のページで確認できます。
厚生労働省の参考様式にもとづく申込書の文面を、申出日を入力して印刷・コピーできる機能もあります(無期転換の申込書の文面を作る)。氏名と宛先の入力欄はなく、印刷後に手書きします。
申し込むと、いつから無期になる?
ここは誤解されやすいポイントです。労働契約法18条1項には、要件を満たした申し込みがあったとき、使用者(会社)はその申し込みを承諾したものとみなす、と定められています。つまり、会社が「いいですよ」と言わなくても、申し込んだ時点で無期労働契約が成立します(会社は拒否できないとされています)。
ただし、無期契約として実際に働き始めるのは「今の有期契約が満了する日の翌日」からとされています。申し込んだその日からいきなり無期の勤務が始まるわけではなく、「申し込みの時点で契約は成立し、無期としての勤務は現在の契約が終わった翌日から」という二段構えになっています。
たとえば、4月1日から1年間の有期契約の期間中に申し込んだ場合、その契約が満了する翌年の3月31日の翌日(翌年4月1日)から、無期労働契約として働くことになる、という流れです(日付は説明のための例です)。
なお、無期転換は「期間の定めがなくなる」ことが本質であり、必ずしも「正社員になる」「給料が上がる」という意味ではありません。契約期間以外の労働条件は、就業規則などで別段の定めがない限り、直前の有期契約と同じ内容が引き継がれるとされています。くわしくは無期転換後の給料・待遇の解説をご覧ください。
いつまでに申し込めばいい?(申し込めるタイミング)
申し込みができるのは、通算契約期間が5年を超えることになる契約について、その契約期間の初日から末日までの間です。この期間中であれば、いつ申し込んでもかまいません。
また、今回の契約で申し込まずに見送った場合でも、権利がなくなるわけではありません。厚生労働省の説明では、申し込みをせずに契約を更新した場合、更新後の新しい契約の期間中に、あらためて申し込めるとされています。「最初の1回きり」ではなく、通算5年を超えたあとは、契約を更新するたびに、その時点の契約の期間中は申し込みの機会がある、という理解になります。
ただし、契約が満了して終わってしまうと、その契約での申し込みはできなくなります。退職や雇い止めで契約関係が終わる前に申し込む必要がある点には注意が必要です。契約満了が近く、会社から更新の有無について連絡がない場合の手続きが気になる方は、雇止め予告 判定ツールや雇止め予告の解説もあわせてご覧ください。
「申し込むと不利益を受けるのでは?」という不安について
「無期転換を申し込んだら、かえって雇い止めや嫌がらせをされるのでは」と心配になる方は少なくありません。この点について、公的な資料で示されている考え方を整理します。
まず、厚生労働省は、無期転換の申し込みをしたことなどを理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは認められないという考え方を示しています(労働契約法の施行に関する通達の趣旨)。また、無期転換の申し込みを避ける目的で、権利が発生する前に雇い止めをすることなども、法の趣旨に照らして望ましくないとされています。
さらに、会社が無期転換を認めずに雇い止めをしようとしても、その雇い止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、権利の濫用として無効とされることがある、とも説明されています(反復更新の実態や更新への合理的期待があるケースについての雇止め法理。くわしくは雇止め予告の解説をご覧ください)。あわせて、あらかじめ無期転換申込権を放棄させるような合意は無効と解されているとされています。
もっとも、これらは「申し込めば絶対に雇い止めされない」「申し込みを理由とする雇い止めは必ず違法・無効になる」という意味ではありません。実際に不当かどうかは、契約の実態など個別の事情によって判断されるものです。不安がある場合や、実際に不利益な扱いを受けた・受けそうな場合は、一人で抱えず、次の相談窓口を利用することをおすすめします。なお、5年に届く前に更新しないと言われた場合の考え方は無期転換の直前に雇い止めされたら?の解説で扱っています。
困ったときの相談先
無期転換の申し込みや、それに関連した雇い止め・労働条件の引き下げなどで会社と見解が食い違う場合は、次のような窓口に相談できます。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)の無期転換ルール特別相談窓口:無期転換ルールに関連した雇い止めや労働条件の相談に対応しています。
- 総合労働相談コーナー:全国の労働局・労働基準監督署内に設置されている、労働問題全般の相談窓口です。無料・予約不要で、秘密は守られます。
- 必要に応じて、社会保険労務士や弁護士などの専門家
窓口の名称・連絡先・受付時間は地域によって異なります。くわしくは、厚生労働省の無期転換ルール特設サイトの相談窓口ページ(記事末尾の出典)でご確認ください。
よくある質問
無期転換の申し込みは口頭でもいいですか?
法律上は口頭でも有効とされています。ただし「いつ・誰が申し込んだか」で後から食い違いが起きないよう、厚生労働省は書面での申し込みをすすめており、参考様式(申込書)も公開しています。
申し込んだら、すぐに無期契約になりますか?
申し込んだ時点で、会社の承諾がなくても契約は成立します(会社は拒否できないとされています)。ただし、無期として実際に働き始めるのは、今の有期契約が満了する日の翌日からとされています。
無期転換すると正社員になれて給料も上がりますか?
無期転換は「契約期間の定めがなくなる」ことが本質で、必ずしも正社員化や給料アップを意味するわけではありません。契約期間以外の労働条件は、就業規則などで別段の定めがない限り、直前の有期契約と同じ内容が引き継がれるとされています。
申し込むと、会社から雇い止めや不利益な扱いを受けませんか?
厚生労働省は、申し込みをしたことなどを理由に解雇その他の不利益な取り扱いをすることは認められないという考え方を示しています(通達の趣旨)。また、申し込みを避ける目的の雇い止めは法の趣旨に照らして望ましくないとされ、権利の濫用にあたる場合は無効とされることがあります。ただし、実際に不当かどうかは個別の事情によります。不安がある場合は相談窓口の利用をおすすめします。
会社が「無期転換は認めない」と言っています。どうすればよいですか?
要件を満たした申し込みであれば、会社の承諾がなくても無期契約は成立するとされており、会社は拒否できないとされています。見解が食い違う場合は、都道府県労働局の無期転換ルール特別相談窓口や、総合労働相談コーナー(無料)に相談できます。
まとめ:まずは自分の状況を確認してから
無期転換の申し込みは、口頭でも法律上は有効とされていますが、記録が残る書面での申し込みが安心です。申し込んだ時点で契約は成立し(会社は拒否できないとされています)、無期としての勤務は今の契約が満了した翌日から始まる、という流れを押さえておきましょう。
申し込みの前に「そもそも自分は通算5年を超えているのか」を確かめたい方は、契約の開始日・終了日を入力するだけで目安を計算できる無期転換ルール判定ツールをご利用ください。入力内容は保存・送信されず、その場で計算するだけの仕組みです。申込書の文面を印刷・コピーしたい方は、無期転換の申込書の文面を作るページもご利用ください。
この記事は、労働契約法18条や厚生労働省の公開資料をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。実際の判断が必要な場合は、勤務先の人事担当者、お近くの労働基準監督署・総合労働相談コーナー、都道府県労働局の相談窓口、社会保険労務士などの専門家にご確認いただくことをおすすめします。
出典
- 労働契約法(日本法令外国語訳データベース): https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3744
- 無期転換ルール特設サイト(厚生労働省): https://muki.mhlw.go.jp/
- 無期転換の申込み方法・参考様式(厚生労働省 特設サイト): https://muki.mhlw.go.jp/part_time_job/
- 無期転換ルールについて(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21917.html
- 無期転換ルール 相談窓口(厚生労働省 特設サイト): https://muki.mhlw.go.jp/contact/
- 無期転換ルールハンドブック(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000518484.pdf